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従来より、アユなどの魚類の遡上・降河に寄与するため、河川や対象魚種によってさまざまな検討が行われています。 魚道に関しては、「河川横断施設概略点検マニュアル(案)」(旧建設省河川局治水課 H5.1)にしたがって評価・改善手法を行っています。一方、堰や水門・閘門に附帯した魚道では、これらの横断構造物と連携した運用を行うことにより、より対象魚類の遡上環境を向上させることができると考えられます。 堰における魚類の遡上調査結果などから、利水への影響、塩分遡上による生物への影響等を回避しつつ、堰や水門・閘門の操作により、遡上・降河に最適な堰上下流水位差・流速を創出することを提案しています。 a図は、起伏堰を全伏させた場合とさらに水門を開放した場合の流況の概観です。この河川では、アユは魚道として起伏堰を主に遡上します(現地観測結果より)。また、堰下流側の水位が低い間、アユは堰下で滞留しており、潮汐の影響を受け堰下流側の水位が上昇すると大量に遡上することも確認されています。また、水門を開放した場合において、堰上流側水位の低下に伴い堰上下流の水位差が小さくなり、アユが大量に遡上しました(b図)。
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そのため、一日のうちでアユが最も遡上した時間帯の堰上下流の水位差・流速を確保できる堰、水門、閘門の操作方法を平面2次元モデルを用いて検討しました。 この結果、『起伏堰倒伏+水門開放』時には、アユが最も多く遡上した条件を長時間確保することができ、堰直下の渦流も解消しています。今後は、今回提案した堰操作を実際に堰の運用に取り入れ、アユの遡上状況をモニタリングする予定です。

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